強引社長といきなり政略結婚!?

「それから、藤沢ゴルフ倶楽部を傘下に収める話も順調に進んでおりますので」

「――なに?」


おじい様は眉をピクリと動かし、腰を浮かせた。


「どちらも、決定権は私にあると思っておりますが、違いますか?」


そこまで言わなくても……とも思ったけれど、ここで私が弱気になってはいられない。
一成さんを応援するつもりで、その横顔を一身に見つめた。


「それなら、どうしてわしにその娘を会わせたりするんじゃ。わしの意見を聞くつもりがないのなら、こうしている意味はひとつもない」


おじい様のこめかみがピクピクしているのが、傍目からもわかった。顔色もさっきより悪く見える。


「会長に反対されたまま結婚するわけにはいかないじゃないですか。汐里さん以外の人との結婚は考えていません。ですが、会長にも祝福してほしいんです」


一成さんは切実に訴えた。

< 281 / 389 >

この作品をシェア

pagetop