強引社長といきなり政略結婚!?

おじい様は腕を組んで、悠然と背もたれに体を預けた。


「ちょっと待ってください。そんなことで大事なことを決めるなんて馬鹿げてます」


一成さんが身を乗り出して抗議するものの、「それ以外で認めるつもりはありゃせん」とおじい様は一蹴した。駄々をこねるように、プイと顔を横にそむける。

再び、私たちは押し黙ることになってしまった。

多分、おじい様は最大限の譲歩のつもりで、突飛な提案をしてくれたのだろう。
頭からダメだと否定され続けていたことを思えば、大きな進歩だと思えなくもない。
このチャンスを逃したら、おじい様に一生認めてもらえない可能性がある。
それなら……。


「私、やります」


一成さんが「え?」と私を見る。


「ゴルフ対決、やります」

「ほほう。意外と骨のある娘じゃの」


おじい様は口をすぼめて目を丸くした。
私が受けて立つとは思っていなかったのかもしれない。

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