強引社長といきなり政略結婚!?

カートを使って移動しているとはいえ、疲れてしまったのかもしれない。

大丈夫だろうかと思った時だった。おじい様がその場で崩れ落ちるように倒れる。

――え!? 嘘!


「会長!」


すぐに駆け寄った日下部さんに続いて、私と綾香さんもおじい様のそばへ走った。


「会長! 大丈夫ですか!」


その場に跪き、おじい様を抱き上げた日下部さんが声を張り上げる。
胸を手で押さえて苦しそうに顔をしかめているおじい様は、それに反応すらしない。


「日下部さん、早く病院へ!」


ぐずぐずしている暇はない、カートへ乗せて、早いところクラブハウスへ戻らなくては。
おじい様を抱き上げた日下部さんが、なんとかカートへ辿り着いた。
ところが、ついさっきまで動いていたカートの電源が入らない。

――嘘でしょ!? お願いかかって!

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