強引社長といきなり政略結婚!?
両親の呑気さと、詐欺師――もとい朝比奈さんの強引さに、言葉がなにひとつ出てこない。
父が勧めると、彼は再び腰を下ろした。
「汐里、朝比奈さんはね、一年ほど前にお父様を亡くされて、社長を継いだそうだ」
「ふーん」
「汐里同様に兄弟はいらっしゃらないらしい」
「へー」
つい適当な返事になっていると、母から「汐里」とたしなめられた。私の返答がなっていないと言いたいんだろう。
「いいんですよ、お母様」
早速“お母様”と呼ぶとは抜かりのない男だ。
チラッと横目で見てみれば、母はその呼び名に頬を赤く染めていた。
「汐里さんに興味を持ってもらえるよう、最大限の努力をしていくつもりですから」
「まぁ! 朝比奈さんったら頼もしい!」
「本当に頼りがいのありそうな好青年だ」