強引社長といきなり政略結婚!?
幼馴染の男の子とちょっとした弾みでキスをしたことはあるけれど、彼氏がいたことはこれまでない。ここだけの話、実は処女だ。
これまで何度となく父のセッティングしたお見合いに臨んできたように、その意向に逆らう気持ちはないし、大事に育ててもらった恩義もある。父の会社が助かるのなら、それに越したことはないとも思う。
でもだからといって、お見合いする間もなく、なんの前情報もないまま乗り込んできた新参者の朝比奈さんに『はい、どうぞ』と渡されるのはちょっとショックだ。
「汐里、ちょっと聞いてくれるか」
父は突然真顔で私に向き直った。
「何度も言うが、人を見る目は父さんのほうが汐里より養われていると思うぞ」
父は人生の大先輩だし、私より人を見る目があるというのはわかる。私はのんびりとお嬢様をやってさえいればよかった。人の“裏”を読む必要に迫られたことはない。
「ここにいる一成くんは、夫として、経営者として、間違いのない人物だ」
でも、その自信はいったいどこから?
首を傾げそうになるのを私は必死に留めた。