強引社長といきなり政略結婚!?
年下のゆかりちゃんに不親切だと言われ、心にグサッとくる。せっかく仲良くしてくれている彼女に、心が狭いとは思われたくない。
「……わかりました」
唇が尖ったままなのは許してほしい。
ひとまず手帳をレジカウンターの引き出しに入れておくことにした。
ところが、すぐに取りに戻るんじゃないかという期待は儚く散り、私のアルバイト終了の午後三時を回ってしまったのだった。
なんで私が。そんな不満を抱えながら自転車のペダルを踏み込む。
名刺に書かれた住所を頼りに、スマホの地図アプリで行き先を設定した。
タクシーを使ってしまおうかと一瞬過ったものの、そうはいかないと思い直した。そんな無駄遣いをしている場合じゃない。まだ外は明るいし、自転車だ。
幸い、地図アプリによると、コンラッド開発の本社はここから七キロほど。自転車で十分行ける距離だ。
冷たい北風を頬に感じながら、幹線道路をひたすら突き進む。
それにしても、本当に迷惑な人だ。喫茶店に来るのはよしとしても、どうして忘れ物をしていくのか。しかも、手帳なんて大事そうなものを。
悪いと思いつつペラペラと見てみると、予定がびっしりと書き込まれていた。