強引社長といきなり政略結婚!?

「あ、すみません。藤沢汐里と申します。約束はしていないのですが……」

「どういったご用件でございますか?」


言葉の端々から私を排除したい気持ちを感じる。どことなく威圧を感じて、タジタジになった。
でも、受付嬢としては当然の対応だろう。


「お渡ししたいものがありまして」


カバンから取り出した手帳を見せる。
受付嬢は少しためらったのち、「少々お待ちくださいませ」と目の前にある電話の受話器を持ち上げた。私にも聞こえるか聞こえないかの声で、電話の相手と話しだす。
相手は朝比奈さんなのか、それとも他の誰かか。

しばらくすると、彼女は受話器を戻した。


「あちらで少々お待ちくださいませ。ただいま参ります」


右手で簡易的な応接セットを指し示した。


「ありがとうございます」


彼女にお辞儀をし、椅子に腰を下ろす。
なんとなく緊張していたせいか、今になって足が痛いことに気づいた。

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