最初で最後の恋だから。ーセンセイー
(あれ・・・)

靴箱に靴がなかった。

嫌な予感がした。

「よぉ。
こないだは邪魔がはいったからな。
今日は長く遊ぼうぜ。」

アイツはニヤニヤしながら靴を持ったまま笑っている。

「上靴貸せよ。」

私が言われるまま渡すとアイツは靴を放り投げた。

私が拾って靴を履くと痛みがした。

押しピンが刺さっていた。

「バーカ。
普通、見てから履かねぇ??」

ククッと笑いながら今度は上履きで髪を押さえつけてくる。

「お前が俺と目線を合わせるなんておこがましいんだよ。」

鞄からペットボトルを取り出して一口飲むとそれを私の頭上から垂らした。

炭酸飲料の甘い匂いと共に髪が頬にベッタリとくっつく。

「床にこぼれちまった。
拭けよ。」

私がハンカチを取り出そうとすると、背中を蹴られた。

「これで綺麗になったんじゃねぇ?」

アイツは私を足蹴にして笑っている。

(早く、終わって・・・)

アイツが満足すれば終わる。

それまで耐えていればいるしかなかった。
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