公爵様の最愛なる悪役花嫁~旦那様の溺愛から逃げられません~
「公爵が侍女を召し抱えるとは、驚きですな。てっきり若い子女にはご興味がないと思っておりましたが、陰では上手いことやっておるということでしたか」
からかいとも取れる言い方をされても、ジェイル様の作り笑顔は崩れない。
「どうぞお好きなようにご想像ください」と淡々と返したら、アクベス侯爵は笑うのをやめ、顔をしかめた。
「我が娘のことを、蔑ろにしてもらっては困りますぞ」
「もちろんです。ルイーザ嬢のことも、他の御令嬢方のことも、真面目な思いでおります。ただ私は慎重な男ですので、伴侶を選ぶにはもう少し時間が必要です。ご理解ください」
それはどうやら、ジェイル様の花嫁選びの話みたい。
候補の令嬢が何人かいて、その中にアクベス侯爵の娘も含まれるということなのか。
貴族のことなど無知に近い私だが、侯爵よりも公爵の方が階級が上であることくらいは知っている。
アクベス侯爵はジェイル様を気に入っているというよりはきっと、より爵位の高い家に娘を嫁がせたいと考えているのだろう。
それにしても、孫娘というのではなく、ジェイル様の妻になれる年頃の娘がいるとは驚いた。
侯爵夫人とは、かなりの年の差があるのかもしれない。