公爵様の最愛なる悪役花嫁~旦那様の溺愛から逃げられません~

畑仕事をさせられない五歳以下の幼い子供たちの面倒を見ながら、シスターは破れた子供の服を縫っていて、その手を止めると目尻にたくさんの皺を寄せて私を見た。


「クレア、いつもありがとう。心から感謝していますよ。今、そっちにーー」


その言葉を遮り、私は歩き出しながら言う。


「シスターは子供たちを見ていないと。私ひとりでメアリーに会ってくるわ」


食堂を出て長い廊下を奥へと進む。

左右に並ぶドアの先は子供たちの寝室で、それぞれが四人部屋となっている。

メアリーの部屋は最奥で、四人部屋を今はひとりで使っている。

その理由は、結核という伝染病を患っているからだ。


エプロンのポケットから取り出したマスクをして、私はそのドアをノックして開けた。

ベッドに横たわったまま、顔だけこっちに向けた八歳の少女。彼女がメアリーだ。

ふっくらとしていた頬は痩せてしまい、大きな瞳が落ち窪んで見える。

さくらんぼのようだった唇も、今は色味を失ってカサついていた。

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