公爵様の最愛なる悪役花嫁~旦那様の溺愛から逃げられません~
日に日にやつれていく彼女を見るのは胸が痛いが、それでも笑顔を作ってベッドサイドに寄った。
「メアリー、今日は昨日より顔色がいいわね。よくなってきている証拠だわ」
メアリーは「そんなことないーー」と言いかけて、激しく咳き込んだ。
慌てて彼女の体を横向きにして、その小さな背中をさする。
苦しそうに咳き込みながらもメアリーは、「クレアお姉ちゃん、離れて。うつっちゃう」と私を心配してくれた。
なんて優しい子なのだろう。
こんなに善良な少女がなぜ、これほどまでに苦しまねばならないのか。
シスターには言えないが、私は神を信じていない。
もしいるのなら、このようにむごい仕打ちを幼い子供に与える理由はなんだというの……。
メアリーの前で泣くわけにいかないので、努めて明るい口調で言う。
「私のことは心配いらないのよ。私の母も結核を患っていたけど、看病していた私はうつらなかったわ」
母が結核で亡くなったのは、私が十歳のとき。
他に身寄りのない私は、その後、ここで二年ほどお世話になり、その後はドリスの宿屋で住み込みで働かせてもらって生きている。
貧しい孤児院なので、十二歳になったら出ていかなければならないのだ。