公爵様の最愛なる悪役花嫁~旦那様の溺愛から逃げられません~
広場の奥に建ち並ぶ倉庫群の間を通り抜けると、そこは港。
石を積んで整備された海岸線には、大型商船から小型の漁船まで、その数百艘ほども係留されている。
荷揚げのスペースは、先ほどの広場の四倍ほどもある広大な石畳で、「今は人が少ないが、夜明けから午前中いっぱいは、漁民でごった返しているぞ」とジェイル様が教えてくれた。
想像よりもずっと大きな港に、私は感嘆の溜め息をつく。
するとジェイル様がクスリと笑い、「灯台に行けばもっとよく見える」と、港の端に立つ円柱状の背の高い建物を指差した。
割と近くに建っているように見えたが、そこにたどり着くのに歩いて五分ほども要した。
真下から見上げる石造りの塔は、首が痛くなりそうなほどに高くそびえて空まで届きそう。
「ジェイル様、てっぺんまで上ってみたいわ」
「十階建て相当の高さがあるぞ。上れるか?」
「ええ。足腰には自信があるわ。丘の上の孤児院に毎日通っていたもの」
「へぇ、それは頼もしいな」