公爵様の最愛なる悪役花嫁~旦那様の溺愛から逃げられません~
ジェイル様が『上れるか?』と最初に聞いた意味は、体力面の心配だけではなかったのかもしれない。
螺旋階段には手すりがなく、飛び石のように次のステップまで隙間があり、かつ擦れ違う幅はないほどに狭い。
『随分と危険な階段ね』と思いつつも、私は最初のステップに足をのせる。
その後はリズミカルに靴音を響かせて上り続け、数分後には最上階のフロアを踏んでいた。
続いて上ってきたジェイル様は、「落ちる心配など無用だったな」と私を見て笑う。
口角を上げてひと言、「そうね」と返し、ぐるりと辺りを見回した。
灯台は上にいくほど細くなっていたから、面積は一階の半分にも満たない。
床の真ん中は丸くくり抜かれていて、天井につけられた滑車にロープを潜らせ、それが下まで伸びていた。
どうやら薪を、これで上まで運ぶようだ。
興味を持って見て回る私に、ジェイル様が説明してくれる。
「下にいる男は灯台守だ。あの男の家の者が代々灯台の管理をしている。昼はーー」