公爵様の最愛なる悪役花嫁~旦那様の溺愛から逃げられません~

「クレアの瞳は美しい。まるでこの海を映したかのように青く透き通り、吸い込まれてしまいそうだ」


見目麗しい貴公子は、その瞳を艶めかせて甘く囁くように私を褒めた。

口説き文句のようにも聞こえて心臓が跳ねたが、それは一瞬だけのこと。

すぐに冷静に、彼の本心を読み取ろうと試みる。


私に惹かれているのならば企み通りで喜ばしいことだけど、なにか違うわ……。

口角をやや上げて薄く開いたその口元は、なんらかの思惑があることを隠し切れずにいる。


それに気づいてスッと真顔に戻った私を見ると、彼は手を離して苦笑いした。

「手強いな」と呟いた後は甘い雰囲気を消し、視線を海に移して真面目な声で私に聞いた。


「教えてくれ。お前の生い立ちと、ゴラスでの暮らしぶりを」

「どうして知りたいの?」

「クレアに興味があるからだ」


今度は嘘のようには聞こえない。

毎朝、私の教師役を務めてくれることや、こうして時間を作って王都を案内してくれることからも、私に少なからず興味はあるのだと思う。

恋愛ごととは無関係の興味が。


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