公爵様の最愛なる悪役花嫁~旦那様の溺愛から逃げられません~
私の母の話を初めて聞かされたメアリーは、咳が治ると、悲しい顔をした。
「クレアお姉ちゃんのお母さんは、結核で亡くなったということね。私も、もうすぐ……」
しまったと思い、母の話をしたことを後悔した。
希望を失い心が弱れば、それは体にも大きな影響を与えてしまう。
慌てて私はメアリーの右手を両手で握りしめ、希望の言葉を探した。
「メアリーは違うわ。私の母は、薬を買うお金がなくて治療できなかったの。でもメアリーは毎日薬を飲んでるでしょう? 絶対に治るからね」
メアリーは私の青い瞳に自分を映し、なにかを考えているような顔をする。
でもなにも言わずにコクンと頷き、少しだけ笑ってくれた。
私の言葉に納得したというより、私を安心させたいと気遣っているような、歳に似合わない大人びた笑い方だった。
「お薬飲むわ。クレアお姉ちゃん、いつもありがとう……」
メアリーに薬を飲ませた後、私はすぐに孤児院を出て丘をさらに上り、頂上までやってきた。