公爵様の最愛なる悪役花嫁~旦那様の溺愛から逃げられません~
そんな私の心情を考慮して、少しでも楽しく食事が取れるようにと、彼は言葉多めに話しかけてくれる。
「今朝与えた課題はどこまで進んだ?」
「すべて覚えたわ」
「素晴らしい記憶力だな。この屋敷に来て四カ月ほどだというのに、必要な知識はあらかた身につけた。大したものだ」
褒めてくれても素直にお礼が言えないのは、警戒しているせい。
『あなたの筋書き通りには運ばせないわ』と、常に身構えているのだ。
彼の前で無邪気に笑ったのは、海を見たあの灯台での一度きりで、それ以降はこうして作り笑顔で受け答えをしている。
「ジェイル様は私を見くびっていたのね。あなたが思うより私は賢いわ。だから、簡単に操れると思わないで」
「主人に対して口の利き方がなっとらんな。賢いというのなら、会話のマナーも学んでくれ」
私を叱りつつも、彼は微笑している。
会話上でも彼はいつも私より優位に立つ。
私がいくら強がったって、余裕の笑みを浮かべる彼を慌てさせることはできないのだ。