公爵様の最愛なる悪役花嫁~旦那様の溺愛から逃げられません~
栗のタルトを胃袋に詰め終えて、紅茶を流し込み、口内に残る贅沢な甘さを故意に消し去った。
「すべて食べました。ご馳走様でした」
彼が頷くのを見てから立ち上がり、退室しようと歩き出したら、「クレア」と呼び止められた。
「はい」と返事をして振り向けば、彼はニヤリと口の端を吊り上げる。
それはなにかを企んでいるときの彼の表情だ。
「三十分後に執務室に来い。どれだけ肉がついたのかを調べてやる」
「はい……」
また裸にさせられるということなの?
それを理解すると鼓動が速まり、頬が僅かに熱くなる。
おかしいわ……。
前に裸になれと言われたときは、破瓜を迎えることも覚悟の上でためらいなく服を脱いだのに、今は恥ずかしいと戸惑う自分がいる。
その心の変化を悟られぬように顔を背けると、私は足早に食堂を後にした。
それから三十分後、言われた通りに私は執務室の前にやって来た。
できるだけ心を冷やして羞恥心を押し込め、代わりにこれはチャンスだと自分に言い聞かせる。