公爵様の最愛なる悪役花嫁~旦那様の溺愛から逃げられません~

食に関しての自分の努力を認めて頷き、やっと視線を彼の顔に移した。

するとフッと笑った彼が満足げに頷いて、それから次の指令を下す。


「クレア、社交界に出ろ。教養を身につけ、見栄えもするいい女になった。今のお前なら、他の貴族と渡り合えるだろう」


来たわね……ジェイル様が私を駒にするときが。

彼の策略に乗って領地を取り戻す気はないので、注意深く意見する。


「辺境伯の娘だと知られたら身の危険があると、あなたは前に言ったわ」

「そうだな。今は身の上を明かすときではないが、そろそろ貴族たちと触れ合わせねばならん。だから偽りの姓を名乗れ。三日後のマリオット伯爵邸での舞踏会に、お前を連れていくぞ」


有無を言わせぬ鋭い眼光の前で、私は反論の言葉を封じられていた。

それは既に決定事項で、私の意見など求められていないのだ。

心の中を忙しくして、自分の狙いと彼の思惑の間で、折り合いをつけようと試みる。


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