公爵様の最愛なる悪役花嫁~旦那様の溺愛から逃げられません~
私を妻にと考えたのは、実家もなく、機嫌を取らねばならない相手ではないからという理由だろうか。
もっと他に企み事がある気がしたのは、深読みしすぎなのか……。
考え込んでいると、彼は顎先から指を離し、少々わざとらしい溜め息をついていた。
「お前なら令嬢ども蹴散らすことができると思ったが、できないのなら取引もーー」
「やるわ」
花嫁候補の令嬢たちを追い払うだけなんて、簡単よ。
彼を恋に落としてやろうと企んでいたときよりはずっと、実現の可能性が高い。
この屋敷で暮らすことおよそ四カ月、彼は恋心などという不毛な想いを抱かない男だということが身にしみて分かった。
そういう意味で、私たちは似ているのかもしれない。
私の承諾の言葉に、彼は不遜な笑みを浮かべた。
「交渉成立。契約書に調印といこうか」
「あっ」と声をあげたのは、再び長椅子に押し倒されたからだ。
ナイトガウンの合わせ目を開かれ、寝間着のリボンも解かれて、左の乳房をあらわにされた。
隠そうとする私の手首は捕らえられ、「じっとしてろ」と命じられた直後に、形のよい唇が白く柔らかな膨らみを吸う。