公爵様の最愛なる悪役花嫁~旦那様の溺愛から逃げられません~
数度にわたって強く吸われ、私の胸には赤紫色のバラの花が一輪咲いた。
拘束を解かれた後は、慌ててナイトガウンの襟を引き合わせ、目を泳がせる。
「これが調印だというの?」と上擦る声で尋ねれば、「俺の胸にもつけるか?」とからかうように問い返された。
「つけないわよ……」
顔の熱が引かないのは、きっと部屋が暑いせい。
赤々と炎をくゆらせる暖炉を横目で睨みつけ、『薪の無駄遣いよ』と心の中で文句をつける。
彼には裸を見られ、触られもした。
『この程度のことが恥じらう理由にならないわ』と自分に言い聞かせ、高鳴る動悸を抑えようとしていた。