公爵様の最愛なる悪役花嫁~旦那様の溺愛から逃げられません~
その後も、次から次へと私たちの元に貴族たちが挨拶に訪れ、ジェイル様の注目度が高いのが窺える。
王政の中枢に関わる彼が連れている見慣れぬ娘ということで、私に対しても皆の興味は尽きないようだ。
マリオット伯爵とのやり取りと、似たような会話を続けること四十分ほど。
大広間の隣室にご馳走が山ほど用意され、ダンスが始まるまで食べて楽しめと言われても、それができないほどに忙しい。
続々と到着する貴族とその家族により、大広間は百名近い人でごった返している。
広々とした大理石の床をシャンデリアの明かりが照らす豪華な広間が、今は狭く感じるほどだった。
「クレア、疲れてないか?」と耳打ちするようにジェイル様が話しかけてきて、「平気よ」と答える。
貴族的な場で上品に振る舞わねばならないことに神経をすり減らしているのは事実。
しかし疲れたと感じないのは、強い目的意識があるからだろう。
私はここに物見遊山に来たわけではなく、彼の花嫁候補者を打ち負かしにきたのだと……。