公爵様の最愛なる悪役花嫁~旦那様の溺愛から逃げられません~
信じたかどうかは判断つかないが、アクベス侯爵はそれ以上、子爵の存在については追及してこなかった。
その代わりに、私がジェイル様と同じ屋敷で暮らしていることへの不満を口にする。
「確か、今年はご家族が都に来られないと仰っておいででしたな。それなのに、遠縁のお嬢さんだけを町屋敷に呼び寄せるとは、随分と面倒見がよろしいことですな」
嫌味のようなその言葉に、ジェイル様は微かに口の端を吊り上げた。
アクベス侯爵と、その横に並ぶルイーザ嬢と夫人を順に見て、勿体ぶるような間を空けてから口を開く。
「クレアをしかとご覧ください。どうです、眩いほどに美しいでしょう? 年頃になりましたので、そろそろ皆様にお披露目せねばと、呼び寄せました。行儀見習いとして側に置き、日夜かわいがっております」
ルイーザ嬢の顔が、しかめられるのを見た。
斜め前に立つ彼女と私の視線がぶつかり、火花が散る。