公爵様の最愛なる悪役花嫁~旦那様の溺愛から逃げられません~
ルイーザ嬢は私よりふたつ歳上の二十歳。
そろそろ嫁に行かねば、行き遅れと呼ばれる年頃だ。
しかし麗しい面立ちと、アクベス家の娘ということで、貴族令嬢としての価値は最高級に位置づけられていると、オズワルドさんの資料に書かれていた。
王家に嫁いでもおかしくない身分の令嬢だが、ジェイル様に狙いを定めているのは、今、王家に年頃の男性がいないためだ。
王太子はまだ十歳の少年だというから、結婚相手にはなれない。
けれども、親に言われたからというのではなく、ジェイル様との婚姻は彼女の望みでもあるみたい。
胡桃色の艶やかな長い髪と、同色の勝気な大きな瞳にツンと尖った鼻をした、美しい女性。
彼女は上品さを保ちながらも私を睨みつけ、嫉妬しているのがヒシヒシと伝わっていた。
「ルイーザの好敵手だという解釈で、よろしいですかな?」と、アクベス侯爵が忌々しげに問う。
「どうでしょう。今の私の一番の気に入りは、クレアだとだけ、申し上げておきましょう」
あえて肯定せずに曖昧な言い方をしたのは、ジェイル様の策略なのか。
彼は私と花嫁候補者たちを争わせようとしている。
より火花が多く散るようにと、相手の不愉快さを煽ったのかもしれない。