公爵様の最愛なる悪役花嫁~旦那様の溺愛から逃げられません~
ディアナ嬢は社交的で活発な娘で、フローレン嬢は内気だという資料の説明は、そのまま見た目にも表れている。
ふたりともかわいらしい容姿をしているが、ルイーザ嬢に比べると見劣りしてしまう。
顔の造作というより、気高さが違うと言った方がいいかもしれない。
一番の強敵は間違いなくルイーザ嬢で、彼女は胸元をレースで飾った紫色のドレスの裾を翻し、ジェイル様と踊っていた。
紫色の染料は非常に高価だと聞く。
リボンのみではなく、ドレスまでもが紫色なのは、ルイーザ嬢ただひとり。
相当な財力と高貴さを全身から醸し出す彼女は真の貴族令嬢で、私とは違う。
ワルツのステップを踏んで回りながら、視界に紫色のドレスを捉えるたびに、なぜか不愉快な気持ちでいた。
そのような自分の気持ちに、首をかしげる。
貴族に対して僻みのような感情を持ったことはない。
ゴラスにいたときは、ゲルディバラ伯爵を憎みはしても、羨ましいと感じたことは一度もなかった。
それなのに、なぜはっきりしない不快感に襲われるのだろう。
花嫁候補者を打ち負かす必要はあっても、憎む必要はないというのに。