公爵様の最愛なる悪役花嫁~旦那様の溺愛から逃げられません~

「オルドリッジ公爵はアクベス侯爵の娘に決めたということなの!?」と歯ぎしりをして、羽根扇を折れそうなほどに握りしめるマリオット伯爵夫人。

まるでふたりの邪魔をしに行けというように、私の背に手を当てると、広間の中心に向けてドンと押し出した。

つんのめるように二歩踏み出し、立ち止まったら、ジェイル様の視線がこちらに向いた。


彼は踊りながら広間を移動して、先ほどよりは私に近い位置にいる。

間に二、三組の男女を置いて、私と視線が合わさると、微かに顎をしゃくり、『早くやれ』と言いたげだった。


催促しなくても、やるわよ。
それが契約なのだから。


不愉快な気持ちが込み上げるのは、彼に顎で使われるからなのか、それとも他に理由があるのか……。

得意げな顔で彼に手を取られ、紫色のドレスをヒラヒラと揺らすルイーザ嬢を見ていると、ドロリとした重たい負の感情が湧いてしまう。

それはなぜかと心に問いかけても答えを導き出せず、今はふたりに背を向けて気持ちを立て直すしかなかった。

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