公爵様の最愛なる悪役花嫁~旦那様の溺愛から逃げられません~
「あの程度で頼もしいと言うなら、私の住んでいた町の女性は皆、強者ね。フローレンスさんもハッキリと主張すればいいのよ。ジェイル様のことだって、結婚相手は自分で選びたいと言えばいいわ」
彼女がジェイル様に恋い焦がれているのは分かっている。
それでも敢えて、気持ちの伴わない政略結婚扱いすると、彼女は慌てて否定した。
「違いますわ! わたくしは両親に勧められたからだけではなく、心よりオルドリッジ公爵のことを、その……」
彼を初めて見たのは二年前のとある式典で、その麗しい容貌と、頼もしく紳士的な人柄に心を奪われたのだと、彼女はモジモジしながら話してくれた。
いつもは分け隔てなく、多くの女性をダンスに誘う彼なのに、今日はルイーザ嬢としか踊らないので、これはもう花嫁を決めてしまわれたのだと、失恋に涙していたということも。
彼女は母親と違い、話すのが苦手なようだ。
要約すればそれだけの内容の話を、十分ほどもかけて、たどたどしく説明するから、退屈さを隠すのに苦労する。
くだらない涙の理由に呆れつつも、それを表情に出さないように努め、話し終えた彼女にすまなそうな顔をして見せた。