公爵様の最愛なる悪役花嫁~旦那様の溺愛から逃げられません~
「そうだったの。勘違いしてごめんなさいね。私、政略結婚が嫌で泣いているのかと思ったのよ」
「いえ、どうかお謝りにならないで。クレアさんのお優しいお心遣いは、感じておりますわ。それで、あの、わたくしの悩み事を解消してくださると仰ったのは……」
勘違いをしていたというのなら、その話もなかったことにされるのかと、心細そうな目がこちらに向いていた。
私は眉をハの字にかしげたまま、困ったふうを装って、悩み事の解消方法について打ち明けた。
「私は今、ジェイル様のお屋敷でお世話になっているの。だから彼がどんな人なのか、よく知っているわ。彼の本当の姿をお教えしたら、あなたのご両親は花嫁候補を辞退させると思ったのよ。娘の幸せを願っていることでしょうから」
フローレンス嬢は先ほど、彼のことを見た目に麗しく、紳士的で頼もしい人柄だと頬を染めて話していた。
まるでその評価が間違っていると言わんばかりの説明に、茶色の瞳が揺れている。