公爵様の最愛なる悪役花嫁~旦那様の溺愛から逃げられません~
「本当のお姿って……」
華奢なその肩に手をかけて、ゆっくりと後ろに回り込むと、彼女の首のリボンが解けかかっていることに気づいた。
一度解いてから結び直してあげようとする。
しかし、彼女はそんなことよりも話の続きが気になるようで、チラチラと振り向くから、結びづらくて仕方ない。
「じっとしていて」
「は、はい。申し訳ありません……」
「できたわ」と結び終えても、私は気になる答えを与えてあげず、「寒いわね。中に戻りましょう」と、彼女に背を向け、バルコニーに足音を響かせた。
すると案の定、「お待ちになって!」と引き止められる。
「どうか、本当の姿という意味をお教えくださいませ。このままでは、わたくし、眠りにつくこともできませんわ」
足を止めた私は、扉の方を向いたままで口を開く。
まんまと引っかかる彼女にほくそ笑んでしまい、振り向けないのだ。
「フローレンスさんは、ジェイル様をお好きなのでしょう? これを話せば、傷つけてしまうわ」
「それでも構いません。クレアさん、お願いします!」
「そう。そこまで言うなら話します。ジェイル様の本当の姿を……」