公爵様の最愛なる悪役花嫁~旦那様の溺愛から逃げられません~
ガーデンチェアに向かい合って座る私たち。
体はすっかり秋の夜風に冷やされて、鳥肌が立っていた。
話し終えた私は、俯いて体を震わせるフローレンス嬢をひとり残し、席を立つ。
ちょうどそのとき扉が開いて、マリオット伯爵夫人がショールを手に現れた。
私をキッと睨みつけるも、文句のひと言もないのは、煩い蝉のようなおばさんだと言われたことを気にしているせいかもしれない。
羊毛の温かそうなショールは一枚しかなく、娘の肩に羽織らせると、夫人は励ますように声をかけた。
「少しは落ち着いた? 今、ようやくオルドリッジ公爵がルイーザ嬢から離れたのよ。次はきっとフローレンスが誘われるから、早く中にーー」
これまでの彼女ならきっと、母親に逆らわずに従ったことだろう。
しかし今は、椅子を鳴らして立ち上がり、ショールを落として、取り乱したように意見する。
「嫌ですわ! お母様、どうかオルドリッジ公爵との結婚のお話を進めないでください。わたくしには、そのような扱いは耐えられません!」