公爵様の最愛なる悪役花嫁~旦那様の溺愛から逃げられません~

「まぁ、一体どうしたというの!?」と夫人も慌てていて、母娘して落ち着きを失っている姿にクスリと笑う私は、バルコニーを出て扉を閉めた。

するとそこには、待ち構えていたように立つ、ジェイル様がいた。

扉の横の壁に背を預け、腕組みをして、口の端を僅かに吊り上げて私を見ている。

なぜか不愉快な思いが込み上げて、その前を素通りしようとしたら、「おい」と手首を掴まれた。


「主人への報告は義務だ」

「心配しなくても、ひとり目は片付けたわよ」

「どうやったんだ?」

「特別なことはなにもしてないわ。あなたが私にしてきたことを、詳細に教えてあげただけよ」


そう、フローレンス嬢に話したことは、怖がらせるための作り話などではなく、私が彼にされたことで、そこに嘘は少しもない。


全裸になるよう命じられた後に、『その程度の体』とけなされたことや、胃が気持ち悪くなるほどに食べさせて太らそうとすることを教えてあげた。

それと、肉の付き具合を確かめるために、たくし上げたスカートを持っているように要求され、太ももや胸を直に触ってきたこと。

純潔を散らすぞと脅されて、長椅子に押し倒されたことも話した。

それらの話の証拠として、まだ左胸の膨らみに咲く赤紫のバラを見せたら、彼女は青ざめて震え出した。

私も話しながら体を震わせていたが、それは寒さのせいであり、彼女の震えの理由とは別物だった。

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