公爵様の最愛なる悪役花嫁~旦那様の溺愛から逃げられません~
「そうそう、あれも話したわ。書庫での勉強中、あなたが褒美だと言って私に体臭を嗅がせたことも」
「バラの香水だろ。お前が嗅ぎたそうだから、嗅がせてやったんだ」
大した苦労もなく、ひとり目を片付けた私に、彼は渋い顔をする。
「俺の評判を落とすようなやり方はやめてくれ」
「事実を教えてあげただけで非難されたくないわ。それとも、私に対する自分の行いが、ひどいものだったと認めているということかしら?」
会場の誰よりも麗しき美青年を、横目で睨みつけていると、小さな溜め息が聞こえた。
「まぁ、いい」と珍しく降参した様子で話を流した彼は、私の腰に腕を回して歩みを促し、どこかへ誘導する。
「どこへ行くの?」
「隣の応接間に、料理が並んでいる」
「食べたくないわ」
「そこにペラム伯爵一家がいるんだ」
そういうこと……。
早速、花嫁候補者のふたり目に接触しろということね。