公爵様の最愛なる悪役花嫁~旦那様の溺愛から逃げられません~

ジェイル様に声をかけられると、幼い長男以外のペラム一家は慌てたように立ち上がり、「どうぞどうぞ。光栄に存じます」と、一家の席以外の残りの二席に手の平を向けて言った。

しかしそこは空席ではなく、二十代と思しき男性ふたりが座っている。

彼らはペラム一家に無言で笑みを向けられ、慌てたように皿とグラスを手に立ち上がり、会釈してから他の席へ移っていった。


食事中に追い払われたふたりを、気の毒とは思わない。

彼らは私が覚えるべき対象ではなく、言わば雑魚だ。

これからこのテーブルの流れは、いささか速くなる。

雑魚は流れの緩やかな小川で、呑気に水草を食む方が幸せじゃないかしら。


雑魚という認識は、ジェイル様もペラム一家も同じであったようで、給仕の使用人にテーブル上の食べこぼしなどを片付けさせると、何事もなかったかのように私たちは着席し、笑顔で話し始めた。

ジェイル様は私とペラム伯爵の間の席で、ディアナ嬢の隣には私が座る。

一家とは到着時に挨拶を済ませていたので、彼女は「クレアさん」と私の名を呼んだ。


「ゆっくりとお話しできて、嬉しいですわ」と、無邪気な笑顔を見せる彼女に、「ええ、私も同じです」と、作り笑顔を向ける。


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