公爵様の最愛なる悪役花嫁~旦那様の溺愛から逃げられません~
ペラム伯爵は笑顔を引きつらせ、ディアナ嬢は元気を失い悲しげに私を見る。
「やはり、そうでしたか」と言った伯爵は、娘が私に勝てる点を探し始め、それを見つけて口にした。
「オルドリッジ公爵の婚姻ともなると、尊重すべきはやはり、家柄と財力でしょうな。クレアさんは、ボルドウィン子爵の御令嬢でしたな。失礼ですが、領地は持たず、公爵家の土地を間借りしている状況と耳に挟みましたが?」
領地もない子爵令嬢では、公爵家の嫁に相応しくない。
そう言いたげなペラム伯爵は、微かに顔をしかめて私を見ていた。
本当は子爵令嬢ではなく、辺境伯の娘だと言ったら、この人はどうするのかしら?と思いつつも、それは公にできない。
私を牽制するペラム伯爵に、にっこりと微笑みかけ、彼の望む言葉を口にしてあげた。
「ご心配には及びませんわ。私、身の引き方は心得ておりますの。ディアナさんの方がジェイル様にお似合いですわ」
伯爵夫妻は意表を突かれた顔をして、ディアナ嬢は私の手を取り、「クレアさん!」と感激している様子。
ジェイル様だけは不満げで、『話が違うだろ』と言いたげに私を睨んでいた。
その不愉快そうな様子は無視して、私は話を進める。