公爵様の最愛なる悪役花嫁~旦那様の溺愛から逃げられません~
「ジェイル様、ディアナさんをお屋敷にお招きしてもいいかしら? もっと深いお話もしてみたいわ。私たち、とても仲良くなれそうよ」
貴族の女性は、お互いの町屋敷を訪問し合って交流するものだと聞いた。
ディアナ嬢と呑気にお茶を飲み、無駄話に時間を費やすつもりはないけれど、お転婆な彼女が楽しめるように、趣向を凝らしてお招きしようと思いついた。
作り笑顔を向ける私の意図を感じ取ったのか、ジェイル様の口元にも腹黒さの滲む笑みが広がる。
「それは良い考えだ。ディアナ嬢、ぜひとも我が屋敷へお越しください。クレアの友人になっていただけると嬉しく思います。その日は私も早めに仕事を切り上げ、時間を作るよう努力いたします」
ペラム伯爵一家は、私たちの黒い思惑には気づいていない。
伯爵夫妻はホッとした様子で顔を見合わせていて、ディアナ嬢はパッと花が咲いたような無邪気な笑顔を見せている。
「お伺いしますわ。いつがいいかしら?」と、今から待ちきれない様子で話しかけてきて、私の心には冷たい木枯らしが吹き抜ける。
ジェイル様の屋敷に招かれ、彼との距離が縮まる予感に喜んでいるのね。
私にはめられ、恋が砕け散ることになるとは露知らず……。