公爵様の最愛なる悪役花嫁~旦那様の溺愛から逃げられません~
ディアナ嬢を招くのは明後日という約束をして、ペラム一家と離れる。
ジェイル様とふたりで大広間に戻ると、彼が「どんな計画だ?」と面白そうな顔をして聞いてきた。
「帰ってから教えるわ。ここでは駄目よ。誰かに聞かれるかもしれないもの」
彼と並んで話しながら、楽団の前を通り、壁際を歩いている。
奥には休息用に椅子が並べられている一画があり、そこにルイーザ嬢の紫色のドレスが見えた。
座っている彼女は、若い男性貴族に声をかけられている様子だが、首を横に振ってひと言ふた言答えると、彼は残念そうな顔をして去っていく。
きっとダンスに誘ったのに、ルイーザ嬢に断られたのね。
男性からのダンスの申し込みは、断ってはいけないとマナー本に書かれていた。
けれども、ルイーザ嬢は暗黙の決まりごとを守るより、ジェイル様を待っていたいようだ。
白魚のように美しい彼女の手に触れていいのは、ジェイル様だけだと決めているのかもしれない。