公爵様の最愛なる悪役花嫁~旦那様の溺愛から逃げられません~
訝しむ私から、目の前の男性に視線を移したジェイル様は、紳士的な笑みを浮かべて言った。
「申し訳ないが、クレアと踊るのは私です。あなたは他の女性をお誘いになればいい。例えば、すぐ後ろでパートナーをお探しになっている、ルイーザ嬢はどうですか?」
あれだけ彼女を独占していたというのに、なぜそんなことを言うの?
驚いて目を瞬かせる私の手を自分の腕に絡ませたジェイル様は、フッと笑って、ルイーザ嬢を見ろと言いたげに僅かに顎をしゃくる。
私たち三人の視線を浴びる彼女は、三歩ほど離れた位置に立ち竦んでいた。
美しい顔を歪め、悔しげに唇を噛み締めて、侮辱されたような心持ちでいることがひしひしと伝わってくる。
私たちを睨みつけた彼女は、目の前の男性貴族に誘われる前に踵を返し、足早にこの場から離れていった。
「追ってあげてはどうですか?」
ジェイル様に促された彼は、「い、いえ、私はそろそろお暇しようと考えていましたもので……」と言い訳すると、私たちに会釈して、逃げるように彼女とは逆方向へ去っていく。