公爵様の最愛なる悪役花嫁~旦那様の溺愛から逃げられません~

あの男性貴族を低く見ているようなことを言う彼だけど、馬鹿にするような口調ではなく、ただの事実説明のように聞こえた。

すべての申し込みを受ける必要はないのかと、新たな知識を頭に書き加えつつ、クスクスと笑ってしまう。


「なにがおかしい?」

「その雑魚を、ルイーザ嬢に押しつけようとしていたからよ。あれだけ彼女を独占していたくせに、手の平を返したようにひどい扱いね」


紫色のドレスを踊りながら探したが、見当たらない。

ルイーザ嬢は応接間で食事をしているのか、それとも悔しさのあまり、アクベス侯爵夫妻より先に帰ったのかもしれない。

今回のジェイル様の振る舞いは、当然アクベス侯爵の耳にも入ると予想できる。


「ルイーザ嬢を粗末に扱えば、アクベス侯爵に睨まれるんじゃないの?」と、からかうように指摘すれば、彼はフンと鼻を鳴らす。


「誰のためだと思っているんだ」

「え……?」


クルリと回転させられたその後は、腰を引き寄せられて必要以上に体が密着し、耳元に艶めいた低い声が忍び込む。

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