公爵様の最愛なる悪役花嫁~旦那様の溺愛から逃げられません~
クスリと笑って彼女の子供っぽさを指摘する。
すると彼女は自覚があるのか、これには慌てた様子で、「大人ですからひとりで平気ですわ」と反論し、侍女に帰るように命じていた。
「ですが、お嬢様おひとりでは、粗相してしまわれるのでは……」
「大丈夫だったら。私は十八歳で嫁ぎ先について考えるほどに大人なのよ。マチルダはクレアさんに言われた通りにして」
『粗相』という言葉に、舞踏会の日に聞いた彼女のお転婆ぶりを思い出し、侍女の苦労を思った。
侍女はきっと仕えるお嬢様が他家で失態を晒さないか、心配しているのだろう。
しかし私たちふたりに帰れと言われては「分かりました」と答えるしかなく、渋々といった様子で閉めたばかりの玄関扉を開けて出ていった。
ディアナ嬢をひとりにすることに成功した私は、彼女を一階の南棟の奥へと案内し、南西の角の部屋のドアを開けた。
ここはサンルーム付きの応接室。