公爵様の最愛なる悪役花嫁~旦那様の溺愛から逃げられません~

行き交う人々も一張羅を着て闊歩して、くすんだ水色の木綿のワンピースと紐が擦り切れそうな白いエプロンを着た私が、今日はいつも以上にみすぼらしく見えていた。


兵士の姿も多く、視察団を安全に迎えるために巡回しているみたい。

私が薬屋のドアを開けようとしていると、兵士のひとりが駆け寄ってきて、厳しい視線を向ける。


「おい、娘。今日明日はこの道を歩いては駄目だ。早く立ち去れ」


身なりが貧しくても、私の容姿は男が好むものだ。

いつもなら、鼻の下を伸ばして声をかけられることはあっても、こんな扱いはされない。

しかし、今日は町の一大事。

ゲルディバラ伯爵に忠実でなければ文字通りに首が飛ぶから、兵士も私に厳しかった。


睨みつける兵士に怯むことなく、私は侮蔑の視線をぶつけて構わず薬屋のドアを開ける。


「おい、命令に従わんか!」

「薬を買ったら出ていくわよ。邪魔しないで」

「言うことを聞かないと、斬り捨てるぞ!」

「私の血飛沫で、せっかく綺麗になった道や店やあなたの服も汚れるわよ? それを視察団に見られていいなら、どうぞご自由に」
< 19 / 363 >

この作品をシェア

pagetop