公爵様の最愛なる悪役花嫁~旦那様の溺愛から逃げられません~
行き交う人々も一張羅を着て闊歩して、くすんだ水色の木綿のワンピースと紐が擦り切れそうな白いエプロンを着た私が、今日はいつも以上にみすぼらしく見えていた。
兵士の姿も多く、視察団を安全に迎えるために巡回しているみたい。
私が薬屋のドアを開けようとしていると、兵士のひとりが駆け寄ってきて、厳しい視線を向ける。
「おい、娘。今日明日はこの道を歩いては駄目だ。早く立ち去れ」
身なりが貧しくても、私の容姿は男が好むものだ。
いつもなら、鼻の下を伸ばして声をかけられることはあっても、こんな扱いはされない。
しかし、今日は町の一大事。
ゲルディバラ伯爵に忠実でなければ文字通りに首が飛ぶから、兵士も私に厳しかった。
睨みつける兵士に怯むことなく、私は侮蔑の視線をぶつけて構わず薬屋のドアを開ける。
「おい、命令に従わんか!」
「薬を買ったら出ていくわよ。邪魔しないで」
「言うことを聞かないと、斬り捨てるぞ!」
「私の血飛沫で、せっかく綺麗になった道や店やあなたの服も汚れるわよ? それを視察団に見られていいなら、どうぞご自由に」