公爵様の最愛なる悪役花嫁~旦那様の溺愛から逃げられません~

兵士を黙らせて薬屋で買い物を済ませたら、私は西の方角にある孤児院へと足を進める。

正午を知らせる鐘の音が、後ろから聴こえてくる。

民家が途切れると、青々とした麦畑が左に広がり、右には緑の葉を茂らせるじゃがいも畑。

眩しい日差しを浴びて、じゃがいもの白い花がたくさん咲き始め、景色だけは美しかった。


孤児院のある丘へ続く道は、もう少し先にあり、畑の中の土の道を歩いていると、前方に農民ではない、男性の集団が見えた。


あれは……。

護衛の兵士が三十人ほどと、馬に乗った中年貴族。

暴君の姿は町の式典や祭事で見かけたことがあるので、それがゲルディバラ伯爵だとすぐに分かった。

思わず睨みつけたが、私の視線は別の黒毛の馬に乗る男性貴族に止まり、首をかしげた。


遠目なので顔の詳細は分からないが、ダークブラウンの短い髪型をして、黒の丈長の上着を着た、ガッチリと逞しい若い貴公子。

他にも馬に乗っている見慣れぬ風体の男が数人いて、その人たちはなんとなく、彼の従者のように見える。

この町の兵ではない黒い兵服を着た護衛もいて、視察団の一向と、彼らを案内をするゲルディバラ伯爵に出くわしてしまったと気づいた。


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