公爵様の最愛なる悪役花嫁~旦那様の溺愛から逃げられません~
次にコンソールテーブルの引き出しから、花切り鋏を取り出し、その茎を小指の長さを残して切り落とす。
不思議そうな顔のディアナ嬢に、「座って」と長椅子を指差してそこに座らせると、私は彼女の後ろに立ち、マーガレットの髪留めを外した。
「クレアさん?」
「クレアと呼び捨ててくれて構わないわ。敬語もいらない。私もディアナと呼ぶから。私たちはお友達。お友達の恋を応援してあげたいの。じっとしていてね」
温かみのある声色でそう言ったが、彼女に見られていないので、表情は白けたままでいる。
彼女の背中まである長い髪は、舞踏会の日と同じく両サイドのみを編み込み、それを結わえていて、外した髪留めの代わりに黄色のバラを三輪飾ってあげた。
今日の彼女は紅葉した銀杏の葉を思わせる黄色のドレスを着ているので、黄色のバラともよく合っている。
出来上がると、キャビネットの引き出しから手鏡を二枚持ってきて、合わせ鏡で後ろ髪を見せてあげた。
「ディアナは黄色が似合うわね。とても素敵よ。夕方になればジェイル様がお帰りになるわ。そのとき、あなたの髪を見て褒めてくださると思うの」
鏡を置いて振り向いた彼女は、感激のあまりに長椅子に膝立ちし、両手を私の肩に回すようにして抱きついてくる。