公爵様の最愛なる悪役花嫁~旦那様の溺愛から逃げられません~
「おかしな場面を見せて、ごめんなさい。でも不安に思う必要はないのよ。あのキスは、妹をからかうようなものだから」
「妹を?」
「ええ。私は彼の遠縁で、小さい頃に遊んでもらったことがあるわ」
ジェイル様と私は幼い日に結婚式ごっこをして遊んだことがあり、舞踏会で踊りながら話していたのは、そのときの思い出。
彼は私をからかって、昔を再現しただけだという作り話をした。
「私はもう子供じゃないのに、困ってしまうわ」と言って話を締めくくると、「そうでしたの!」とディアナ嬢はホッとしたように頬を緩めていた。
簡単に騙される彼女に心で呆れつつ、「それと、もうひとつ理由があるわ」と興味を誘う。
「どんな?」と食いついた彼女から離れて、長椅子を回り込み、テーブルを挟んで彼女の向かいのひとり掛けの椅子に座る。
彼女も体の向きを前に戻し、若干身を乗り出すような姿勢で、私の続きの言葉を待っている。
嘘に食いつくその様子が滑稽で、クスリと笑ってから、彼女の望みに合うようなキスの理由を加えてあげた。