公爵様の最愛なる悪役花嫁~旦那様の溺愛から逃げられません~

ドリスの話からすると、ゴラスの飾りつけられた表面だけを見る視察だと思ったのに、農地を見て回っていることに驚いた。

それを許しているゲルディバラ伯爵にも。

伯爵なら、農民たちの貧しい暮らしぶりを見られたくないと思いそうなのに、なぜ案内しているのだろう。

視察団に求められて、それを断ることができなかったということなのか。

ということは、あの黒毛の馬に乗った貴族の権力はゲルディバラ伯爵よりもずっと大きく、内政不干渉と言っても、伯爵は指示に従わなければならない立場にあるというの……?


視察に訪れた貴族に興味を惹かれたのは少しの間だけで、私に気づいた兵士がふたり、こちらに駆けてくるのが見えたので、急いで道を外れて畑に入った。

じゃがいも畑を走って突っ切り、道のない草の生い茂る丘の斜面を登り始める。

不審者扱いされて、捕らえられては大変だ。

メアリーに薬を届けられなくなってしまう。


いつもより時間と体力を使い、遠回りしてやっと孤児院にたどり着くと、様子がおかしいことに気づいた。

< 21 / 363 >

この作品をシェア

pagetop