公爵様の最愛なる悪役花嫁~旦那様の溺愛から逃げられません~

そこまで言ってやっと理解した様子の彼女は、「私へのお手紙かしら」と頬を染めている。

私は肯定も否定もせずににっこりと笑みだけを返し、「さあ、早く探して」と廊下の先を指差して促した。


「ジェイル様は十七時にお帰りになるわ。後一時間。そこが制限時間よ。それまでにあなたは、彼の心を手に入れることができるかしら?」


ディアナ嬢の瞳には、子供っぽい好奇心と冒険心の他に、恋を成就させようとする女の野望も見て取れた。

「絶対に宝物までたどり着いてみせるわ!」と頼もしく、歩数を数えながら廊下を右に歩き出す。


カードの裏に書かれていたヒントは、【右に四十。曲がり角】。

彼女が四十を歩数と解釈したのは正解だ。

四十歩を歩くと、玄関ホールへと繋がる曲がり角に差し掛かり、その角部屋の扉のドアノブに手をかけて、彼女は私に振り向いた。


「開けてもいいかしら?」

「どうぞ。この屋敷内のドアはどこでも自由に開けていいわ。立ち入り禁止の部屋は施錠してあるから、心配しないで」


頷いた彼女はドアノブを回して、そっと扉を開けた。

それから「あったわ!」と喜び勇んで、中に駆け込む。

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