公爵様の最愛なる悪役花嫁~旦那様の溺愛から逃げられません~
この部屋も応接室。
屋敷内の応接室は大小合わせて五つもあり、ここは東洋の珍しい家具や茶器などを飾ったオリエンタルな雰囲気で纏めた部屋だった。
ディアナ嬢は珍しい家具には目もくれずに、カードに描かれていたものと同じ絵皿に一直線。
キャビネットの上に飾られていたその絵皿の前には白い封筒が置いてあり、その中から次のカードを、楽しそうな顔をして引っ張り出していた。
「次は壺ね。矢印に二という数字。このヒントは、二階に上がれということかしら」
「自由に探索してね。私は元の応接室で待っているわ。時間に気をつけて、頑張って宝物を見つけ出して」
「ええ!」
新しいカードを手にした彼女は、銀杏の葉色のドレスの裾を元気に翻す。
その際に、廊下へと駆け出した彼女の髪から、黄色のバラの花びらがひとひら散り落ちた。
ひとりきりの部屋で作り笑顔を消した私は、着ている普段使いの緑色のドレスの胸元から、忍ばせていた黄色のバラを一輪取り出した。
これは彼女の訪問前に用意していたもの。
彼女の髪に黄色のバラを飾ってあげたのは、会話の流れ上のことではなく、計画されていたことだった。
私は取り出したバラの花びらを二枚剥がし、彼女が散らした花びらに足す様に、絨毯の上に落とす。
それから絵皿を手に取ると、それを躊躇なく床に落として割った。