公爵様の最愛なる悪役花嫁~旦那様の溺愛から逃げられません~
この部屋の調度類はどれも高級品だが、絨毯の上で五つに割れた絵皿には骨董品としても美術品としても価値はない。
昨日は港の青空マーケットで、骨董市が催されていた。
私はひとりで一時間ほどかけ、そこまで歩いていき、どことなく悪人顔の髭面の店主から、この絵皿を買ったのだ。
店主は『唐渡りの珍しい一品だ』と言ったが、骨董通らしき客の男性に『よく見れば偽物だと分かる』と笑われて、歯を噛んでいた。
偽物と聞いて買う気になった私は、リンゴひとつ分と同じ価格の二セルダで購入し、他にも青磁の壺や絵画など、どれも偽物ばかり買い付けた。
それらはディアナ嬢が探して歩くカードに描かれている品々で、どれも壊さねばならないから偽物の方が都合がいいのだ。
足元で割れた絵皿と、絨毯の上に点々と散り落ちた黄色の花びらを、冷ややかに見つめていた。
他家で高価な品々を壊して歩く貴族令嬢がいるとしたら、どう思われるかしら?
親は恥ずかしくて、嫁に出そうなどと思わないわよね。
相手の男性にだって、結婚を断られて当然よ。