公爵様の最愛なる悪役花嫁~旦那様の溺愛から逃げられません~
ほくそ笑んでみたのは、チクリと痛んだ心をごまかすため。
目的を果たすためなら、私はどこまでも心を黒く汚そうと思う。
無邪気に食べ物を粗末にする貴族令嬢などに、一片の同情も湧かないわ……。
ディアナ嬢がカード探しを始めてから五十分が経とうとしていた。
二階の大広間で最後のカードを見つけた彼女は、廊下に出てくると、「次の部屋に宝物があるのね!」と大きな独り言を呟いていた。
三階に上がり、南棟の廊下を歩数を数えながら歩く彼女。
その後ろをこっそりと私がつけていることは、まったく気づいていないようだ。
彼女は廊下の中ほどで足を止め、すぐ横にある扉のドアノブに手をかける。
そこはジェイル様の寝室だ。
ここまでいくつもの部屋のドアを開けてきた彼女なので、今は少しの躊躇もなく、勢いよくその扉を開ける。
黄色ドレスが部屋の中に入り、ドアが閉められたのを見届けてから、私はそっと近づいて、そのドアを少しだけ開けて中を覗いた。