公爵様の最愛なる悪役花嫁~旦那様の溺愛から逃げられません~

私に与えられた部屋の二倍ほど広いこの部屋は、調度類は濃い茶色の木目をして、カーテンや絨毯は落ち着いた深緑色。

三人が並んで寝られそうな大きなベッドは、中央に置かれ、奥には火の入った暖炉、その手前に椅子が一脚のテーブルセットが配されている。

窓際には執務室にあるものよりは小振りな机と書棚と振り子の柱時計があり、その向かいの壁にはキャビネットが四つも並んでいた。

暖炉の横の壁には、クロスしたレイピアが調度品として飾られている。


私にしたら贅沢な作りの部屋だが、貴族としては装飾が控えめで、清閑で趣味がよく男性的な印象のある部屋だった。

これまで私はジェイル様の寝室に立ち入ったことはなく、部屋の様子を見るのも初めて。

屋敷に来て間もない頃、侍女としての仕事をさせてもらおうとこのドアをノックするたびに、オズワルドさんに『無用』のひと言で退けられていたことを思い出す。

その際に中の様子の片鱗は見えたが、じっくりと観察する機会はこれまでになかった。

しかし、調度類の数や配置、色合いなどは知っていた。

それは最後のカードに描かれているのが、この部屋の全体図だからだ。

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