公爵様の最愛なる悪役花嫁~旦那様の溺愛から逃げられません~
その様子に薄笑いを浮かべた後は、私ひとり、ドアを閉めて廊下を歩き出した。
そろそろジェイル様が帰ってくる。客をひとり連れて。
執事たちは皆、外出させているのだから、私が玄関でお出迎えしなくては。
秋の夕日はすっかり落ちて空には早くも夜の帳が下り、執事が出かける前に灯していったスコンスの明かりがないと、廊下は真っ暗になっていたことだろう。
薄明かりの中、廊下を進み、階段を下りて玄関ホールに姿を現わすと、ちょうど玄関扉が開いて、ジェイル様と客人の男性、その後にオズワルドさんが入ってきた。
私は困り顔を浮かべ、ジェイル様に近づいて「お帰りなさいませ」と声をかけた。
「ただいま、クレア。ペラム伯爵をお連れしたんだ。議会後に無理を言って寄っていただいた。ディアナ嬢もいらしていることだから、一緒に晩餐を楽しもうと思い立ってな」
連れてきた客人とはペラム伯爵で、ディアナ嬢の父親だ。
彼は舞踏会の日と同じように、丸顔に艶々と油を光らせていて、「クレア嬢、お邪魔しますよ」と社交辞令的な笑みを向けてきた。