公爵様の最愛なる悪役花嫁~旦那様の溺愛から逃げられません~
「ペラム伯爵、ようこそおいでくださいました」とスカートをつまんで会釈してから、また困り顔に戻し、落ち着きなく目を泳がせてみた。
するとペラム伯爵が怪訝そうな顔をして、「娘はどこにおりますかな?」と聞いてきた。
「ディアナさんは、ええと、その……」
口ごもる私に「どうした?」と問うのは、ジェイル様。
彼の眉間に寄せた皺はもちろん演技で、私の肩を掴んで顔を覗き込んでくる。
「なにかあったのか? 言いなさい」
「ジェイル様、申し訳ありません……」
先に謝ってから、説明する。
ディアナ嬢に誘われ、隠れんぼを始めたのだが、彼女の姿を見つけられずに困っているということを。
「隠れんぼだと? クレア、お前はいくつだ。もう子供ではないだろう」
「ごめんなさい。ディアナさんをお止めできなくて……」
今朝の打ち合わせ通りに叱りつけるジェイル様に、私も予定通りに肩を落として反省している素振りを見せていた。
「まぁまぁ」とジェイル様を宥めてくれたのはペラム伯爵で、それは私を庇ったわけではなく、そうせざるを得なかったからだろう。
ディアナ嬢から隠れんぼに誘ったのだと、先ほど私が説明したためだ。